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M&A(企業買収)その6〜買収スキームの着眼点〜

こんにちは、naganoです。
前回まで5回に渡りM&Aの大枠の流れ、買収戦略立案、ターゲット企業の選定、FA選定、企業価値算定について説明してきました。

第1回:M&A(企業買収)その1〜M&Aの流れ〜
第2回:M&A(企業買収)その2〜買収戦略の立案〜
第3回:M&A(企業買収)その3〜ターゲット企業の選定〜
第4回:M&A(企業買収)その4〜フィナンシャル・アドバイザー(FA)の選定〜
第5回:M&A(企業買収)その5〜企業価値算定〜

今回は買収スキームの概要を説明したいと思います。買収スキームを検討するにあたっては、スキームの法的手続きだけでなく、会計や税務、また上場企業の場合は株式市場へのインパクトも十分に考慮しなければなりません。会社法、税務、会計それぞれにおいてM&Aに関する実務上の留意点は膨大にあります。ここでは買収スキームを検討する際の着眼点のみ説明したいと思います。

買収スキームの種類

広義のM&Aは、支配権の移動を伴わない提携(アライアンス)も含まれますが、狭義のM&Aは支配権の移動を伴う取引のことを指します。M&Aのスキームは基本的に株式を対価に買収する株式買収と現金を対価に買収する現金買収の2つに分類できます。ただし、会社法施行により、対価の柔軟性が認められたことから、合併、株式交換・株式移転、会社分割においても株式以外を対価とすることも可能になりました。しかし、それらのスキームにおいて株式以外を対価とした場合、税務上適格組織再編に該当しなくなることから、実務上対価に柔軟化が採用されることは稀です。

買収スキーム選択の着眼点

M&Aにおいてどのスキームを利用するかは買収後のリスクや統合作業にも影響が出てくるので重要な問題です。選択する際は以下のような観点を考慮する必要があります。

①統合の進めやすさとシナジー効果の発揮

統合作業を慎重に進めたい場合や買収対象企業を存続させたい場合は、株式譲渡や株式交換を利用します。この場合は時間をかけて統合作業を進められるため統合リスクを軽減することができますが、シナジー効果が十分に発揮されるには時間がかかります。

一方、統合作業を速やかに進めたい場合は、組織を一本化されるほうがよいので、合併もしくは事業譲渡が望ましくなります。一体化することにより、より大きなシナジー効果の発揮も期待できます。ただし、システムや人事制度の統合など、統合作業の負荷がかかることには留意が必要です。

②子会社化するか対等な立場で統合するか

子会社化する方法としては株式交換、株式譲渡、新株引受けが考えられます。対等な立場での統合をアピールする場合は株式移転を活用した持株会社制設立による統合、合併が考えられます。

③買収対象企業(事業)の健全性

買収対象企業(事業)に簿外債務のある恐れが大きい場合や債務超過である場合は、事業譲渡により健全な部分のみを買収することが考えれます。事業譲渡であれば買い手側が指定した資産、負債だけを時価で買い取ることになるため、基本的には簿外債務を引き継ぐ恐れがありません。一方、簿外債務のリスクが小さいと思われる場合は、株式譲渡や合併等、買収対象企業を丸抱えするスキームを選択してもいいかもしれません。

④買収対象企業の株主が望む対価

買収対象企業の株主が対価として何を望んでいるかもスキームを決める上でのポイントになります。対価として現金を望んでいる場合は株式譲渡となります。新株引受け(第三者割当増資)と事業譲渡は対価は現金ですが、直接の受取者は株主ではなく買収対象企業自身になるので留意が必要です。

買収対象企業の株主が買い手企業の株式を対価として望んでいる場合は株式交換、合併、吸収分割が考えられます。ただし、買い手企業が非上場企業の場合、買収対象企業の株主としては非上場株式をもらっても換金性に乏しいため、これらのスキームが選択されることは稀になります。

⑤買収資金の調達余力

買い手企業側の買収資金の調達余力もスキーム選択に大きな影響を与えます。買い手企業に資金調達余力があれば現金を対価とした買収が可能ですが、資金調達余力に乏しい場合は株式交換や合併といった株式を対価としたスキームを検討することになります。ただし、買い手企業が非上場企業である場合、買収対象企業の株主が非上場株式の受取りを望まないことが一般的であり、この観点は買い手企業が上場企業の場合に限りられます。

⑥株価への影響

株式を対価としたスチームの場合、買収資金の調達が不要である代わりに買い手企業は新株を発行することになります。買い手企業が上場企業の場合懸念されるのは、発行済株式数が増加することによる1株当たり純利益(EPS)の減少とそれに誘発される株価の下落です。買い手企業としてはM&A公表後に株価が大きく下落する事態はさけなければなりません。そこで買収による1株当たり純利益(EPS)の変化を試算し、株価の変動を分析しておくことが重要になります。

⑦税務コスト

スキームによりかかってくる税金にも大きな差がでることも多く、税務コストがスキーム選択上のキーとなることがあります。株式譲渡では買い手企業側にかかる税金は基本的にはありませんが、事業譲渡の場合は課税対象資産の買取については消費税、不動産取得税や不動産の登録免許税がかかったり、買収対象企業の有する繰越欠損金の引き継ぎもできないなど、一般的に税務コストは高くつきます。

まとめ

今回は買収スキームで検討すべき事項について説明してきました。最初にも記載しましたが、会社法、税務、会計それぞれに専門的な知識が必要になります。専門家に相談するなど適切な買収スキームを選択できるようにしましょう。

弊社ではM&Aを積極的に行っています。「同志的融合」を目指し様々な企業様と夢を語り合えればと考えています。こちらのページを是非ご覧ください。