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M&A(企業買収)その9〜DDの進め方〜

こんにちは、naganoです。
前回まで8回に渡りM&Aの大枠の流れ、買収戦略立案、ターゲット企業の選定、FA選定、企業価値算定、買収スキームの着眼点、基本合意、DDの概要について説明してきました。

第1回:M&A(企業買収)その1〜M&Aの流れ〜
第2回:M&A(企業買収)その2〜買収戦略の立案〜
第3回:M&A(企業買収)その3〜ターゲット企業の選定〜
第4回:M&A(企業買収)その4〜フィナンシャル・アドバイザー(FA)の選定〜
第5回:M&A(企業買収)その5〜企業価値算定〜
第6回:M&A(企業買収)その6〜買収スキームの着眼点〜
第7回:M&A(企業買収)その7〜基本合意〜
第8回:M&A(企業買収)その8〜デューデリジェンス(DD)〜

前回説明したようにDDはかなり高度な知識が必要になります。今回は実施計画の策定〜実施までの流れを説明し、次回以降分野ごと着眼点について説明したいと思います。

実施計画の策定

DDを実施するにあたり、まずは実施計画を策定することが必要です。

DD分野の決定

財務、法務、ビジネス、人事、IT等、どの分野のDDを実施するかを決定します。基本的には財務DD、法務DD、ビジネスDDは必須になり、その他は特に懸念される事項があれば当該分野の専門家によるDDを実施します。

DD実施機関の選定

買収対象企業の規模やDDの難易度によってDDを実施する機関を選定します。一般的には大手の会計事務所や法律事務所は調査・分析能力は高いが、その分フィーも高くなります。調査レベルとフィーの水準を考慮し、案件ごとに最適なDDの実施機関をアレンジしましょう。

DD重点範囲の検討

短期間で効率的な調査を行うため、本格的な作業に入る前に重点的に調査する項目を特定しておくことが重要です。予め買い手側で想定しておいた重点範囲をもとに、DD実施機関と調査範囲や大まかなスケジュール、体制等についてすり合わせを行いましょう。

DDチームの組成

DDの調査範囲が固まったところで買い手側は必要な社内外の専門家をDDチームにアサインします。ここで重要なことは買収後に買収対象企業のマネジメントに関与するスタッフをDDチームに加えておくことです。特に買収後に経営幹部として派遣される予定の人材は必須です。PMI(買収後統合マネジメント)はDDの段階から本格的に始まっていると考えましょう。

データルームの設置場所の検討

DDの実施場所はデータルームと呼ばれます。一般にデータルームは買収対象企業の会議室が用意されます。公表前にDDが行われる場合はできるだけ人目につかない場所にデータルームを設置しましょう。場合によっては買収対象企業ではなく、ホテルや貸しビル等の外部の会議室を利用することも検討します。最近ではインターネット上に仮想のデータルームを設置して固有のIDのパスワードを使ってアクセスする「バーチャルデータルーム」が活用されることもあります。

スケジューリング

DDのキックオフから最終報告までのスケジュールを策定します。一般にはデータルームでの調査に数日〜2週間、中間報告まで1〜2週間、さらに最終報告まで1〜2週間で合計1〜2ヶ月というのが標準的なスケジュールのイメージです。DD前に基本合意が締結されている場合は、基本合意書に最終契約日の目処が記載されていることも多く、その場合はDD後に最終締結に向けた交渉期間も考慮してDDのスケジューリングを行うことが重要です。

実施

キックオフ

DDの開始にあたり、キックオフミーティングを行います。キックオフミーティングではチームメンバーの紹介、FAによるDD実施要領やスケジュールの説明、必要資料に関する情報交換などが行われます。情報管理上、特にDD参加者が10名以上になる場合はDD事務局がメンバーリストを作成してDDに関与する者を把握できるようにしておくとよいでしょう。

必要資料の請求

DD実施にあたり、買収対象企業に必要な資料やデータを準備してもらう必要があります。買い手はDDを実施する各機関より必要資料リストを入手して、買収対象企業に提示します。買収対象企業が非上場の場合、必要になるデータや資料が十分に整備されていないことも多く、準備に時間がかかることもあるため、必要資料は重要度の高いものから優先順位をつけて準備してもらうことがポイントになります。

データルームでの調査

通常、データルームの使用ルールは買収対象企業側から提示れるため、それに従って作業を行います。データルームを使用できる時間帯が限定されるケースもあります。調査作業はDD実施機関ごとに粛々と行われます。買い手企業のM&A担当者は調査期間中、終日立ち会う必要はありませんが、調査開始日当日やマネジメントインタビューなど重要な場面には立ち会うことが望ましいです。

マネジメント・プレゼンテーションとマネジメント・インタビュー

データルームでの調査開始日に買収対象企業の経営陣に企業概要や業界環境についてプレゼンしてもらうとよいでしょう。特にDDチームが数十名にも及ぶ大規模なDDの場合、メンバーが買収対象企業の概要について一度に共通認識を得られるため効率的です。

マネジメント・インタビューで確認したい事項

  • 近年の市場動向、競合動向
  • 今後の業界における成功要因
  • 懸念される事業上のリスク
  • 自社の「強み」と「弱み」
  • 経営上の重要課題(全社・担当部門)
  • 株主の属性、関係
  • 関係会社との取引関係
  • 大口販売先との取引関係
  • 簿外債務(債務保証、訴訟、先物売買契約など)の有無
  • 今回のM&Aを決断した背景
  • M&A後に期待すること

中間報告

ある程度調査結果がまとまった段階で各チームから中間報告をしてもらうとよいでしょう。そこで重要なリスクが報告された場合は、必要に応じて調査範囲を拡大して追加の調査を実施します。例えば、関係会社との取引関係や関係会社そのものにリスクが予想される場合は関係会社に対するDDが必要となることもあります。

最終報告

最終報告では中間報告時に報告されたリスク事項に対する追加の調査結果も盛り込んだ報告が行われます。DDの報告会には買収対象企業は同席させるべきではありません。買収対象企業が同席すると、報告内容について意義を唱え、報告がまとまらなくなるおそれがあります。また、事後にDD報告書をそのまま買収対象企業に開示するのも避けましょう。リスクばかりが列挙された報告書を読んで相手が感情的になるおそれがあるためです。必要に応じて相手に見せたい部分だけを抜粋して提供することが望ましいです。

まとめ

今回は実施計画の策定から実施の際の概要を説明いたしました。DDは当事者以外にも専門家など社内外含め作業に携わる人数が多くなる場合もあります。事前に入念な打ち合わせをして無駄な作業などが発生しないよう注意しましょう。今回はDDの実施について大枠を掴んでいただき、次回以降は各分野の着眼点について説明したいと思います。

弊社ではM&Aを積極的に行っています。「同志的融合」を目指し様々な企業様と夢を語り合えればと考えています。こちらのページを是非ご覧ください。