品揃えは多い方が良い…それホントですか?
「ジャムの試食をしてみませんか?お気に召したものがあればお声がけください」
ビズ子さんは、ある食品店に立ち寄って、店員さんにそう声をかけられました。そう、何を隠そう、ビズ子さんはジャムが大好き。朝の楽しみであるベーグルに塗るジャムがそろそろ切れるころだということを思い出しました。
試食してみて、いいものがあったら買って帰ろう…。
ビズ子さんはそう思い、店員さんに案内されていきました。
店の奥に、2つのテーブルが用意されています。
片方のテーブルには6種類のジャム、もう片方のテーブルには24種類のジャムが並んでいます。
ビズ子さんの他にも、何人かのお客さんがジャムの試食をしています。
ふと見ると、そこに注意書きが。
試食はどちらか一方のテーブルだけでお願いします。
また、購入はお一人さま1点まででお願いします。
珍しいものや新しいものが好きなビズ子さんは、迷わず24種類のジャムが並んでいるテーブルに向かって行きました。
さて、ここで問題です。
ビズ子さんはその24種類のジャムからお気に入りの1点を購入できたのでしょうか?
これと同じ実験を、コロンビア大学のシーナ・アイエンガーという人が行いました。
どちらのテーブルも試食をした人の人数は同じです。
どうなったと思いますか?
最終的に購買に至った人の比率は、
6種類のジャムのテーブルの購買率 … 約30%
24種類のジャムのテーブルの購買率 … 3%
なんと、種類の豊富な24種類テーブルでは、6種類テーブルに比べ購入率が激減してしまったのです。
(当然、先ほどのビズ子さんも最後まで選べなかったことでしょう)
この結果からアイエンガーは、人は選択肢が多すぎると却って選ぶ手間隙がかかってしまい、最終的な購入の意思決定をしづらくなってしまう、という法則を導きました。
これをジャムの法則(またはアイエンガーの法則)と呼びます。
人間はそんなに多数の選択肢から最適なものを選ぶ能力を持ち合わせていないし、それを強いられることはむしろストレスになる、というのが理由です。
この法則はマーケティングやマーチャンダイジングの世界でよく活用されています。
小売店で売られているような、比較的安価で一般的な消費財では、選択肢を多く与えすぎないために5〜9アイテム程度の品揃えとすることが有効だとアイエンガーは述べています。
これと同じことは、WEBサイトのデザインにも言えます。
例えば、こちらのサンプルサイトを見てください。
まず最初にどのメニューから閲覧してみようと思いますか?
①とある旅館のWEBサイト
https://template-party.com/template/tp_hotel4/tp_hotel4_skyblue/
次に、こちらのサンプルサイトを見てみてください。
②とあるオンラインショップのWEBサイト
https://template-party.com/template/tp_shop7/tp_shop7_black_blue/
サンプルサイトなのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、①はメインメニューの数が5つ、サブメニューも5つと、比較的すっきりしたメニュー構成になっています。
しかし②の方はどうでしょう。
メインメニューはともかく、両側にコンテンツメニューが多数並ぶ構成に、ちょっと圧倒されてしまう人も多いのではないでしょうか。閲覧しないページも1つや2つは出てきてしまってもおかしくありません。
小売店などでは、往々にして顧客の要望に応じて品揃えを増やしがちですが、適切な商品数に絞る方が運転資本を減らしたりコストダウン効果が見込めたりもするものです。言い換えると、経営的なメリットがあるということになります。
WEBサイトもしかり。あれもこれもと欲張って、いたずらにメニューを増やしたり導線を増やしたりすることは、必ずしも良い結果を生まないというのが分かります。
ジャムの法則の悪い例に陥っているケースは、高度情報化社会の現代だからこそ特にあちこちに散見されるような気がしてしまいます。
情報量が多いことはそれ自体、価値のあることかもしれませんが、闇雲に行き先を増やし、ユーザーに心理的な負担を与えるようなサイト作りをしてしまっては元も子もありません。ストレスなく、迷わずに欲しい情報に辿り着けることが、真のユーザビリティということが言えそうです。
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