置き物から持ち物へ 〜WEBサイト閲覧道具〜
今回は新しい道具の誕生によるWEBサイト閲覧の変遷に触れてみたいと思います。
WEBサイトを見る手段
10代20代の方は、WEBサイトを見るという行為に思いを馳せることは殆どないと思われますが、30代以上だと色々変わったと思う方は多いはずです。
貴方はWEBサイトを見る時に何を使いますか?
10数年前、具体的には2008年以前であれば、殆どの人がPCでWEBサイトを見ていました。
日中は会社や学校のPCで、帰宅したらPCの電源を入れてディスプレイを眺める光景が普通で、世の中の大多数だったわけです。
WEBサイトの運営側からして見れば、閲覧者はそのような行動パターンだった為、腰を据えてWEBサイトが見られるよう、1ページ辺りの内容が長くなったり(読み応えがあり中断しづらい)、PCのディスプレイの大きさを活かしてダイナミックなデザインや見せ方が流行りました。
これが新しい道具の登場で、WEBサイトの運営側も見る側も大きく様変わりしました。
新たな道具の出現
PCの代わりとなった道具は貴方が持っているスマートフォンです。
日本にスマートフォンを浸透させたのは、やはり2008年に販売が開始されたiPhoneの存在でしょう。
また、iPhoneの登場により、GoogleがAndroidを世に放ち、各メーカーが参入する土壌が生まれました。
タブレットは2010年に出たiPad以降からシェアが増えましたが、やはり普段使いできる便利さで殆どの人はスマートフォンでWEBサイトを閲覧しています。
スマートフォンという新しい道具は、PCで出来ることを手元の小さな携帯機で出来るという売れ込みで当時は色々宣伝していたような記憶があります。
その中に、既にPC利用の大きなウェイトを占めていた『WEBサイトの閲覧』をスマートフォンで行えることに大きな魅力を感じた人は少なくなかったはずです。
もちろん動機はそれだけではないでしょうが、スマートフォンはフューチャーフォンと置き換わってシェアを拡大させていきました。
そして今ではスマートフォンの所有率は8割以上とまで言われるほど浸透し、スマートフォンが世の中のスタンダードに置き換わりました。
移りゆく見る側と見られる側
人々の道具のシェアは変わっていきましたが、道具とWEBサイトのそれぞれは、お互いに対応しきれない時期が何年か続きます。
当時のスマートフォンのスペックはお世辞にも高くなく、WEBサイトを見ようとすると表示がカクつく、読み込みが遅い、WEBサイトがはみ出て表示されるなど、快適な閲覧とは程遠いものでした。
WEBサイトの方も当時はPCでの表示のみを想定していたところ、スマートフォンからも見れるようになった為、想定していない環境でWEBサイトが閲覧・利用されたことで見る側に不便を押し付けてしまいました。
スマートフォンでのサイト閲覧が増えるにつれ、WEBサイトを便利な広報や売場として活用していた人達は大変焦ったでしょう。
なにせスマートフォンでWEBサイトを訪問してみれば、表示は崩れてまともに閲覧することが難しいような有り様だったので、顧客候補となる人達は興味を失って離れていってしまいます。
そうした傾向はアクセス数や問い合わせ数の減少として現れていたはずです。
WEBサイトを閲覧する人達の比率がスマートフォンへ寄っていくほど、従来どおりのWEBサイトは効果が落ちていくことが分かり、WEBサイトの『スマートフォン対応』が活発化し始めます。
WEBサイトを2つ作ってPC用とスマホ用に振り分けたり、1つのWEBサイトのデザインを可変させてどちらの環境にも表示を最適化させたり。
最適化させている方をレスポンシブ対応と言うのですが、現在ではこれが主流です。WEBサイトを2つ持つと保守も運用も大変ですから。
これからのWEBサイト
WEBサイトのスマートフォン対応はますます広がっています。そもそもスマートフォンに置き代わる道具の登場この先当分ないでしょう。
PCを持ち運ぶというニーズは数十年前からあり、今ではスマートフォンがそのポジションと使用者のニーズを殆ど満たした為、スマートフォンの延長線上の何かは出ても、スマートフォンに代わる全く新しい物の誕生は考えづらいです。
おまけに、WEBサイトを見るためだけにPCを使う人達は今後どんどん減っていくはずです。
つまり、WEBサイトを今後運用していくのであれば、スマートフォンへの対応必須な時代に何年も前から突入しているわけです。
……なのですが、スマートフォン対応していないWEBサイトはまだ世の中に沢山あります。
スマートフォン対応させる余裕がなかったり、WEBサイトにそこまで力を入れていないなど、様々な理由があると思いますが、大変勿体ない状態です。
WEBサイトは実際の会社よりも遥かに安価に24時間動く宣伝兼窓口にも、ネットへの情報発信の場にもできる便利な道具なのに!
もし貴方がWEBサイトをお持ちでしたら、一度じっくりとWEBサイトの在り方を見つめてみてはいかがでしょうか。
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