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コミュニケーションを手間取らせるXY問題について

ビーズクリエイトの伊藤です。
私はディレクターですが、ドメインやサーバーからWEBサイトの機能などの仕様策定にも関わるため、ある程度の前提知識が必要になってしまう物事についての応対は日常的に社内外で対応しています。
私も説明が下手な方なのでこの辺りの改善は日々試みていますが、XY問題という単語を最近知ったので、ある程度のリテラシーが必要になってしまう話題でのコミュニケーションを上手く取っていくためのやり方を思考してみました。

XY問題って?

『Xという問題に困っているのに、自分で解決できそうと考えたYについて質問してしまう』。
質問された側はYについての背景も意図も分からないため、本来解決すべきXに対する回答が出せない(または時間が掛かる)。
というようなことです。一例を挙げてみましょう。
質問者は営業のA、聞き手はデザイナーのBです。

A「100万円のWEBサイトリニューアルの見積りを作っていいでしょうか」
B「営業の方の案件ですよね。いいのではないでしょうか」
A「100万円の内訳が分かりません」
B「? 私でも分かりませんよ。当社にはその金額のプランは用意されていません」
A「でもWEBサイトのリニューアルのことなのでデザイナーにしか分からないと思います」

実際には上記会話の前提にはこれらの事実がありました。
事実A:会社が用意している制作プランの見積りを既に出している
事実B:受注確度を上げるために先の見積額と違う2つ目の100万円の提案をしたい
事実C:100万円の見積りで作れる範囲はデザイナーに聞かないと分からない
事実D:100万円の提案内容について顧客からの金額以外の要望は出ていない

営業は既に1つ目の見積りを出しており新たに別料金の見積書を用意することで、2つの見積りで比較して受注確度を上げたいという営業の戦略だったことが分かりました。これがX問題となります。
Bは最初からこれを聞いていれば、仕様をコンパクトにしたWEBサイトと金額感をすぐに提示できたことでしょう。

しかし、100万円の制作プランが会社に用意されていないため、営業だけでは100万円の見積内容は作れません。
Aにとっては100万円の見積りを作るためには、デザイナーによる工数に基づいた見積りが必要と判断して「100万円の見積りを作れるか?」というY問題についてBに聞きました。
そのためBは意図を理解できずにコミュケーションが迷走しました。これがXY問題です。

質問者が意識すること

上記の会話例にも言えることですが、目指していることとそうなった経緯の説明は重要です。

・自分が目指している目的
・その目的が結論として出る前の経緯

今回の場合は既に別金額の見積りを出しているが、受注確度を上げたいので100万くらいの別金額帯の見積りを作って顧客に比較検討してもらいたい、という営業の戦略があります。
そこで営業が考えた100万円の見積内容が必要になってきますが、デザイナーに聞かないと分かりません。
このため営業は『100万円の見積りを作るための内訳』を尋ねました。

ただし、デザイナー側には上述の事実A~Dが共有されていなかったため、普段作っているレベルのWEBサイト制作を想像しています(仮に200~300万とします)。
そしてその規模では100万円のプランがないため、その金額でWEBサイトは作れないのに営業が100万の見積が欲しいと言っていることが理解できないという状態です。

よく、「エンジニアやデザイナーに話が伝わらない」という意見がありますが、作業者目線で言えば知るべきことを聞いているだけとも言えます。
そもそも目的や手法を取り違えて依頼されるケースがあります。当然、これを形にしても依頼者の要望は叶いません。
それに、作る行為には周囲が想像する以上の時間が掛かります。これはその手の作業をしたことが無いと共感してもらいづらいですが、依頼者が想定している数倍以上の作業時間が掛かるのはザラです。

そのため、作業者は依頼側のことも考えて効率化した考え方・動き方をするのが標準になります。
結果的に依頼側の意図を正確に把握するためにあれこれ聞くし、場合によっては「こっちの方がいいですよ」と提案するわけですね。

聞き手側が意識すること

こうしたコミュニケーションにおいては基本的に聞く側が準備や配慮をしなければ解消できませんが、聞き手も考えを巡らせてヒアリングすることでXY問題は減らせると考えています。

到達したい目的:営業は顧客へ100万の見積書を提示したがっている
質問者が望んでいるアプローチの把握:100万円の提案内容を営業は知りたがっている

どんな質問であっても、目的と経緯は聞けるはずです。そこが把握できればコミュニケーションは大きく前進するはずです。
当たり前ですが質問される側である以上、聞き手側にはある程度のリテラシーが備わっているはずですので、質問者への歩み寄りは必要だと私は思っています。
そういう場合は上記を意識すればコミュニケーションを取りやすいと思います。

今回の件がしっかり共有されれば、営業は100万円の提案をしたがっているが、会社が標準で用意している制作プランだと100万に合致するものがないことはデザイナーなら分かります(工数感などで)。
デザイナーが事情を分かっていたなら、
「WIXなどのサーバーとWEBサイトがセットになったサービスはどうでしょう」
など、100万円で実現できそうな具体的なプランを営業に伝えられたかもしれません。
また、事実Dの通り金額以外の顧客要望は出ていないため、もしかしたらこの案で受注できていたかもしれません。
結果的にデザイナーは制作以外で契約に貢献したことで営業や会社の評価に繋がります。
上記を踏まえると理想的なやり取りはこのようになります。

A「ある顧客に通常の見積りを出していますが、100万円くらいのWEBサイトリニューアルの提案もしたいです。見積りで出せるような提案はあるでしょうか」
B「通常の制作プランだと無理ですね。例えばWIXでサイト作るとか提案できるでしょうか」
A「顧客側は提案についてのNGはないので提案できると思います」
B「それではWIXをベースにした100万以内の構成を考えてみますね」

以前からリテラシーの差などを置いておいても、コミュニケーションの難しさを感じていたところにXY問題という置き換えやすいお題があったので取り上げてみました。
コミュニケーションは上手くいかないと双方のフラストレーションになりますが、XY問題を知ったことがちょっとした解決の切り口になれば幸いです。



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