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ハイコンテクスト環境でのコミュニケーション力の向上方法について

ビーズクリエイトの伊藤です。
この業界で働いていると、つくづくコミュニケーションの難しさを感じます。
これはWEBに馴染みのなかった社外のお客様とのやり取りに限らず、社内のスタッフに対してもです。
専門的な知識や理解が前提となる話をする上で、いかにコミュニケーションを成立させていくかということは長く考えてきました。
世の中にも『コンテクスト(文脈)』という概念があるように、みんな苦労しているようです。
今回はそんなコミュニケーションの難しさと、できる限り対話を実現していくための考えについてです。

情報は劣化する

伝言ゲームを思い浮かべると分かりやすいですが、基本的な人間のコミュニケーション方法だと本来の情報というものはどんどん変化してしまいます。話者が相手に“誤解なく情報を伝えること”を目的としたコミュニケーションであれば、本来の情報が変化することは『劣化』となります。ではこの劣化とはどんな時に起こるのかを自分なりに分解してみました。
限られた時間で紙にペンで伝言内容を書き写して、次の人に紙の内容を見せるという伝言ゲームをしていると仮定します。

A1.紙に書き写せないので自分なりに簡略化して書き写す。
B1.紙に書かれた文字が読めないので、真似て書いてみる。

おおよそ、伝達内容の劣化はこのような時に起きるのではないかと見ています。
そして伝言ゲームを実際に自分の日常や仕事中に置き換えれば、本来の情報に影響を与えてしまった経験が皆さんにもあると思います(もちろん私にもあります)。
それでは上記の2ケースをさらに掘り下げて、なぜそのようなことが起きるのかという要因は以下と考えられます。

A2.伝達内容が多かったり伝達に許された時間が足りないため、自分なりに情報を抜き出してまとめた。
B2.前提となる知識・経験が不足しており、伝言する内容を解釈できなかった。

こういう場面に直面した機会はないでしょうか。プライベートと仕事のシーンに関わらず、自身の猶予や知識が足りない状態で情報を伝達する役目を担ったことは誰でもあると思います。
他人・自身が情報を劣化させてしまうのは、時間などの制約や情報に対する理解不足の2点に絞れると考えられます。
そして、これらの背景にはコンテクスト(文脈)という概念も影響しています。

ハイコンテクスト文化の日本

コミュニケーションには「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の2つのスタイルがあります。
日本は世界一のハイコンテクスト文化とも言われていますが、これは必ずしも良いとは言えません。
ハイコンテクストなコミュニケーションとはいわゆる「行間や空気を読む」ことが含まれており、言葉だけでなく雰囲気や表情などの『言語ではない振る舞い』もコミュニケーション方法に含まれています。
一方、ローコンテクストは言葉自体を重視する直接的なコミュニケーション文化です。北米や西欧が該当し、言語だと英語がその筆頭と言われています。

ハイコンテクスト文化圏だと言葉を多く語らなくても、相手の意図や文脈を理解しやすくなりますが、前提となる知識や文化の理解がないと、コミュニケーションを誤解する可能性が高まるおそれがあります。
ローコンテクストだと伝えるべきことを全て言語化していくため誤解なく伝わりやすく、前提となる知識などが無くても伝わるようなシンプルなコミュニケーションとなります。

この日本が「ハイコンテクスト文化」であるという前提を踏まえると、上記のA2及びB2の両ケースに情報の劣化の要因として大きな影響を与えているのではと思い当たります。
実際に情報伝達でミスした要因を探ってみると「みなまで言わなくても分かるだろう」とおざなりにしていた部分が原因だったことは少なくないではないでしょうか?

◆書面など文章化せずに口頭だけでやり取りを済ませた。
◆主語が抜けた「あれ・これ・それ」といった指示語だらけになっていた。
◆同業者などとハイコンテクストなやり取りをしていた自覚がなく、他の人にも同じやり取りで伝えたつもりになっていた。

……こういうことですね。私も全部でやらかしたことがあります。
巻き返しがしづらいビジネスだと情報伝達の失敗はできれば避けたいです。具体的な対策としては以下が考えられます。

ミスを減らすコミュニケーション方法とは

#共通言語を作る
単純に日本語がどうこうという話でなく、自分が見ても相手が見ても誤解や思い込みの余地が少ないフォーマットを作りましょうという意味です。
つまりやり取りする情報を書面化したり言語化するということですが、いちいち書面を作るのも面倒なので重要な事項を『箇条書き』するだけでも有効です。

#表現は簡易にする
自身が所属する場所--業界だったり、会社だと現場や経営層だと、日常で触れる専門性の高い言葉が当たり前と勘違いしやすいため、位置が違う人とのやり取りでは単語を簡易に置き換えるすることも重要な手段です。
コンテクストという概念を借りるなら、『専門用語をローコンテクスト化』しましょうということです。
これは口頭だけではなく、上述の書面化でも行わないと効果が出ません。
互いに誤解がないように共有する資料を作ったのに、そこで専門用語が飛び交ってたら上述のケースB2が解決できないということです。

1.定型的な書面や連絡方法を確立して入力・出力する時間を短縮する
2.表現を簡易化することで相手側が誤解する余地をなくす

これらの方法でケースA2及びB2に対して上記のような効果を狙っています。
それでも前提知識が伴うコミュニケーションが避けられない場合があります。
これには自分なりの絶対の正解はないですが、私は相手が理解しやすい既存の概念に置き換えるようにしています。

例えばWEB業界だとWEBサーバーだの馴染みのない概念の説明がしょっちゅう必要になりますが、私の場合は『WEBサーバーは土地、ドメインは住所、WEBサイトは建物』と既存の概念に置き換えて説明しています。
もちろん置き換えることで新たに誤解が生じるおそれがありますが、『伝えたつもりでいて相手が正しく理解していないまま進む』ほうが経験上危ないと考えたうえでの代替案です。

同時に自分に対する割り切りも必要で、『劣化しないコミュニケーションは実現できない』ことを心に留めた方が楽です。
どんなに言葉を重ねても相手側も自分が持っている知識があり、価値観など意思決定に関わる思考の土台があるので限界があります。
100%の共有が無理なら、何%の伝達をもって良しとするかは個々人によりますが、最大を目指す必要がないことが分かっているだけでも多少は楽になるかと思います。



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