不景気に負けるな!停滞は次のステージで成長するための準備期間!

唐沢農機サービス・ビーズクリエイトのNakanoです。長野県の、そして日本の未来をその両肩で支えておられる経営者の皆様、いつもお疲れ様でございます。このブログを読んでくださっている今も、会社の未来、従業員の生活、そして自らの理想の実現のために、昼夜を問わず奮闘されていることと存じます。

さて、最近、県内の製造業の経営者様とお話をすると、どうにも景気の悪い話が耳に入ってくるように感じます。「ここのところ、さっぱり仕事がない」「新しい機械を入れたいが高くて手が出ない」「何より、人を雇う余裕がない。いや、そもそも募集をかけても人が来ない」。無理もありません。肌で感じるこの停滞感には、明確な理由が存在するからです。

しかし、 **「この停滞は、終わりではありません。むしろ、次なるステージへ大きくジャンプアップするための、またとないチャンスなのです」**と考えることは出来ないかと考えてみました。

今日のブログでは、我々を取り巻く厳しい現実を直視しつつも、その分厚い雲の向こうに広がる青空、すなわち、この停滞期にこそ仕込むべき未来への布石について、私の考えを述べさせていただきます。どうか、しばしお付き合いいただけますと幸いです。

第1部:我々を覆う「向かい風」の正体

まず、目を背けることなく、我々が直面している「向かい風」の正体をしっかりと見極めましょう。なぜ今、これほどまでに閉塞感が漂っているのか。その要因は、決して我々の努力不足などではなく、もっと大きな地殻変動ともいえるグローバルな変化に起因しています。

1. 自動車業界の100年に一度の大変革

長野県には、世界に誇る精密加工技術を持つ企業が数多く存在し、その多くが自動車産業と深く結びついてきました。まさに、日本の、そして長野の基幹産業の一つです。しかし、その自動車業界が今、「100年に一度の大変革期」の真っ只中にあります。ご存知の通り、ガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトです。

エンジンという複雑怪奇な内燃機関が、モーターとバッテリーに置き換わる。これは単なる部品の変更ではありません。ガソリン車が約3万点の部品で構成されるのに対し、EVはその半数から3分の2程度にまで減少すると言われています。エンジンやトランスミッションに関連する精密部品を手掛けてきた企業にとって、これは死活問題に直結します。これまで磨き上げてきた技術が、ある日突然、必要とされなくなるかもしれない。この構造的な変化が、川下に位置する多くの中小企業に深刻な影響を及ぼし始めているのです。

2. くしゃみをする中国、風邪をひく日本

かつて世界の工場として、そして巨大な消費市場として世界経済を牽引してきた中国。その経済が、今大きく減速しています。不動産バブルの崩壊懸念、若者の高い失業率、そして米中対立の激化によるサプライチェーンの見直し。これらの要因が複雑に絡み合い、これまでのような右肩上がりの成長は望めなくなりました。

日本の製造業にとって、中国は最大の輸出相手国でした。工作機械、電子部品、自動車部品など、ありとあらゆる製品が中国市場の旺盛な需要に支えられてきました。その巨大な需要が冷え込み始めているのですから、影響が出ないはずがありません。県内の工場で生産された製品も、その多くが最終的には中国で消費されるという流れの中に組み込まれていました。この流れが滞り始めたことが、仕事量の減少に直結しているのです。

3. トランプ関税に象徴される世界の不透明感

記憶に新しいのが、米国のトランプ前大統領が推し進めた保護主義的な通商政策です。特定の国からの輸入品に高い関税を課す「トランプ関税」は、世界中のサプライチェーンを混乱させ、自由貿易を前提としてきた我々のような国の企業に大きな打撃を与えました。

そして今、再びその影がちらついています。仮に次期米国大統領選挙で政権が交代し、同様の政策が復活すれば、世界経済の不透明感は一気に高まるでしょう。どこで、何が、どのように規制されるか分からない。このような予測不能な状況では、経営者が設備投資や長期的な取引契約に踏み切れないのも当然です。先が見えない不安感が、経済活動全体を萎縮させる重たい空気を作り出しているのです。

これらの向かい風は、どれも一つひとつが非常に強力です。そして、その風は残念ながら、しばらくの間は吹き続ける可能性が高いでしょう。しかし、ここで思考を止めてはなりません。天を仰いで嘆くだけでは、何も変わらないのです。風がどちらから吹いているかを正確に知ること。それこそが、次の一手を打つための第一歩なのですから。

第2部:足元で芽吹く「追い風」を見逃すな

さて、厳しい現実を確認したところで、今度は視点をぐっと国内、我々の足元に向けてみましょう。実は、先ほどの向かい風とは逆の方向から、力強い「追い風」が吹き始めていることにお気づきでしょうか。この風を捉えることができれば、我々は向かい風に押し流されることなく、むしろ高く舞い上がることができるはずです。

1. 技術革新とDX(デジタルトランスフォーメーション)という名の翼

「DXなんて、うちみたいな中小企業には関係ないよ」。そう思われていませんか?もしそうだとしたら、それは非常にもったいないことです。DXは、単にパソコンを新しくしたり、会計ソフトを導入したりすることではありません。デジタル技術を活用して、ビジネスのやり方そのものを根本から変革し、新たな価値を創造することです。

例えば、

  • 工場の「見える化」: 熟練工の頭の中にしかなかった機械の稼働状況や生産進捗を、IoTセンサーを使ってデータ化し、誰もがリアルタイムで把握できるようにする。これにより、無駄な待ち時間や非効率な工程を発見し、生産性を劇的に向上させることができます。
  • AIによる品質検査: これまで人の目に頼ってきた製品の検品作業を、AIを搭載したカメラに任せる。24時間365日、疲れ知らずで、人間以上の精度で不良品を見つけ出してくれます。これにより、検品コストを削減できるだけでなく、クレームの減少にも繋がります。
  • 3Dプリンターの活用: 新製品の試作品を作る際、従来なら金型から起こす必要があり、時間もコストもかかりました。しかし、3Dプリンターがあれば、設計データさえあれば数時間から数日で実物に近いモックアップを作成できます。これにより、開発サイクルを大幅に短縮し、顧客の要望にスピーディーに応えることが可能になります。

これらはほんの一例です。DXは、中小製造業が抱える「人手不足」「技術継承」「生産性の伸び悩み」といった課題を解決するための、極めて有効な武器なのです。政府も中小企業のDXを強力に後押ししており、様々な補助金や支援制度が用意されています。今こそ、この翼を手に入れる時です。

2. GX(グリーン・トランスフォーメーション)という巨大な新市場

世界的な脱炭素化の流れ。これを「規制強化」というコスト増の側面だけで捉えてはいけません。GXは、環境問題への対応であると同時に、全く新しい巨大な市場の創出を意味します。

考えてみてください。省エネルギー性能の高い断熱材や窓、太陽光パネルを設置するための架台、風力発電のブレードに使われる特殊な素材、EV用の軽量・高剛性な部品、リサイクルしやすい製品設計…。これらはすべて、製造業の技術が活かせる分野です。

特に、豊かな自然に囲まれた長野県は、「環境」というテーマとの親和性が非常に高い地域です。「長野のクリーンな環境で作られた、サステナブルな製品」というストーリーは、これからの時代、強力なブランド価値を持つことになるでしょう。環境対応はもはやコストではなく、企業の競争力を高めるための「投資」です。自社の技術を棚卸しし、「環境」という新しい切り口で社会に貢献できることはないか。そこに、次のビジネスチャンスが眠っています。

3. 旺盛なインバウンド需要という宝の山

円安を背景に、日本を訪れる外国人観光客の数はコロナ禍前を上回る勢いで回復しています。長野県にも、善光寺や松本城、美しい山々や温泉を目指して多くの外国人が訪れています。

「それは観光業の話だろう?」と思われるかもしれません。しかし、これもまた、製造業にとって無関係ではないのです。彼らは日本で何を買っていくでしょうか。もちろん、お菓子や化粧品も人気ですが、彼らが本当に求めているのは、その国では手に入らない**「本物の日本製品」**です。

精緻な作りの文房具、切れ味の鋭い包丁、美しいデザインの食器、そして、日本企業が作る高品質な工業製品そのものに興味を持つマニアも少なくありません。「Made in Japan」、そして「Made in Nagano」という刻印は、それだけで世界に通用する信頼の証です。自社の製品を、観光客が立ち寄るお土産物屋やセレクトショップに置いてもらうことはできないか。海外のECサイトを通じて、直接世界中のファンに届けることはできないか。インバウンド需要は、我々の製品の価値を再発見し、新たな販路を開拓する絶好の機会を提供してくれているのです。

第3部:世界に広がる無限の可能性

足元の追い風を確認したら、次はさらに視座を高くし、世界に目を向けてみましょう。グローバル経済は、確かに中国の減速や地政学リスクといった課題を抱えていますが、より大きな視で見れば、希望に満ちたダイナミズムに溢れています。

1. 世界の人口爆発と新興国の力強い成長

国連の推計によると、世界の人口は増え続け、2050年には97億人に達すると予測されています。特に、アジアやアフリカの新興国では、経済成長に伴って中間層が爆発的に増加しています。

彼らは、より良い生活を求め、より高品質で、より信頼性の高い製品を求めるようになります。スマートフォン、家電、自動車、そしてそれらを作るための工作機械や部品。そこには、天文学的な規模の需要が生まれるのです。

中国一辺倒のビジネスモデルにはリスクが伴うことを、我々は学びました。これからは、市場を多極化する時代です。ASEAN諸国、インド、そしていずれはアフリカ大陸。これらの成長センターに目を向け、現地のニーズに合わせた製品を開発・提供していくこと。そこに、日本の中小企業が再び世界で輝くための道があります。

2. 「日本ブランド」という最強にして不変の資産

新興国のメーカーも、近年、技術力を飛躍的に向上させています。しかし、それでもなお、日本の工業製品が持つブランド価値は揺らいでいません。「精密さ」「壊れにくさ」「きめ細やかな仕上げ」「納期の正確さ」。これらは、一朝一夕に真似できるものではありません。先人たちが何十年、あるいは百年以上かけて、愚直なまでに品質を追求し続ける中で築き上げてきた、我々の血と汗の結晶であり、何物にも代えがたい貴重な資産です。

この「日本ブランド」という信頼を背負っているからこそ、我々はたとえ価格が高くても選ばれる存在であり続けることができます。大量生産の安価な製品で競争する必要はないのです。我々が持つ独自の技術、ニッチな分野での強みを活かし、「高くてもこれが欲しい」と言ってくれる世界中の顧客を見つけ出すこと。それこそが、中小企業が取るべきグローバル戦略です。

3. パンデミックが教えた「回復力」と「国内回帰」

未曾有の危機であったコロナ禍は、世界経済に大きな傷跡を残しましたが、同時に多くの教訓も与えてくれました。その一つが、経済の驚くべき「回復力(レジリエンス)」です。あれほどの混乱がありながら、個人消費は力強く回復し、多くの国で労働市場は引き締まったままです。これは、世界経済の基盤がいかに強固であるかを示しています。

もう一つの重要な教訓は、サプライチェーンの脆弱性です。特定の一国に生産を依存することのリスクが露呈した結果、世界中の企業が生産拠点の分散化や、信頼性の高い国への「国内回帰」を検討し始めています。この流れは、高い技術力と安定した品質を誇る日本の製造業にとって、間違いなく追い風です。海外に出て行った仕事が、再び日本の、そしてこの長野の工場に戻ってくる可能性も十分にあるのです。

第4部:未来を拓く「人」への先行投資こそ最強の戦略

さて、ここまで国内外の向かい風と追い風を分析してきました。厳しい現実はある。しかし、それを上回るほどのチャンスが、国内にも世界にも広がっている。この事実を踏まえた上で、私が最も重要だと考える提言をさせていただきます。

それは、**「不況期の今だからこそ、未来への先行投資として人材採用を積極的に進めるべきだ」**ということです。

「仕事もないのに、人を雇えるわけがないだろう!」というお叱りの声が聞こえてきそうです。もちろん、闇雲に採用すればいいという話ではありません。しかし、短期的な視点に囚われ、人への投資を怠ることこそが、将来の成長の芽を摘んでしまう最大の過ちだと、私は信じています。

1. 生成AIは「脅威」ではなく「最高の相棒」である

昨今、生成AIの進化には目を見張るものがあります。「AIに仕事が奪われる」という言説もよく聞かれます。しかし、私はそうは思いません。AIは、人間の仕事を奪う「脅威」なのではなく、人間の能力を拡張してくれる**「最高の相棒」**となり得る存在です。

AIが得意なのは、膨大なデータの処理や、単純な定型業務の自動化です。これまで人間が時間をかけて行っていた作業をAIに任せることで、人間はもっと人間にしかできない、創造的で付加価値の高い仕事に集中できるようになります。

  • AIに過去のデータを分析させ、新たな顧客ニーズを発掘する。
  • AIと共に、全く新しいサービスのアイデアをブレインストーミングする。
  • AIを使いこなし、DXやGXの取り組みをリードする。

これからの時代に求められるのは、AIに「使われる」人材ではなく、AIを「使いこなす」人材です。そして、そのような新しいスキルや発想を持った人材は、既存の組織の中からだけではなかなか生まれてきません。外部から新しい血を入れることで、組織は活性化し、イノベーションが生まれるのです。

2. なぜ「今」、採用なのか?逆張りの発想

景気が良い時は、猫の手も借りたいほど忙しく、誰もが人手不足を嘆きます。求人を出しても、優秀な人材は引く手あまたで、採用競争は激化する一方です。

一方で、景気が停滞している今はどうでしょうか。残念ながら、事業の縮小や撤退を余儀なくされる企業も出てきます。その結果、普段は市場に出てこないような優秀な人材が、新たな活躍の場を求めて転職市場に出てくる可能性があります。つまり、不況期は、優秀な人材と出会えるまたとないチャンスの時期なのです。

そして、ここが最も重要なポイントです。景気が回復し、仕事が急に増え始めてから慌てて採用活動をしても、時すでに遅し。採用には時間がかかりますし、採用できたとしても、すぐに即戦力になるわけではありません。

停滞期である「今」採用することの最大のメリットは、じっくりと時間をかけて人材を育成できることにあります。 仕事に追われることなく、会社の理念や文化を深く理解してもらう。ベテランから若手へ、時間をかけて丁寧に技術を継承する。様々な部署の仕事を経験させ、会社の全体像を把握できる多能工へと育てる。

この停滞期間を「雌伏の時」と捉え、来るべき好景気に備えて筋肉質な組織、すなわち、強くしなやかな人材の層を厚くしておくこと。これこそが、経営者に求められる先見の明ではないでしょうか。

結論:冬に種を蒔く勇気

長くなりますが、最後に私の思いをまとめさせてください。

我々長野県の中小企業は今、自動車業界の変革、中国経済の減速、世界情勢の不透明感という、冷たく厳しい「冬の時代」の真っ只中にいるのかもしれません。しかし、どんなに厳しい冬も、必ず終わりを告げ、暖かい春がやってきます。

問題は、その春が来た時に、我々がどのような準備をできているか、です。

ただ寒さに震え、春を待つだけでは、いざ雪が解けても、蒔くべき種を持っていません。他の農家が一斉に種を蒔き始めるのを見てから慌てて種を買いに行っても、良い種はもう残っていないでしょう。

賢明な農家は、冬の間にこそ、土を耕し、水路を整備し、そして、最高の種を選び抜いておくものです。

経営者にとって、未来を拓く最高の「種」とは、言うまでもなく「人財」です。

DX、GX、グローバル化、AIの活用。これらの追い風を捉え、次なるステージへジャンプアップするために不可欠なのは、新しい知識、新しい視点、そして未来への情熱を持った人材です。

この停滞期を、単なる不況と嘆くのか。それとも、未来への飛躍に向けた絶好の準備期間と捉えるのか。その視点の違いが、3年後、5年後の会社の姿を全く違うものにするでしょう。

長野県の経営者の皆様。我々には、先人たちが築き上げた世界に誇る技術と信頼があります。目の前には、DXやGXといった新しい武器を手に入れるチャンスが広がっています。そして世界を見渡せば、日本の力を必要としている巨大な市場が待っています。

足りないのは、未来を共に創る仲間です。

さあ、共に未来への種を蒔こうではありませんか。この冬を乗り越え、来たるべき春に、誰よりも美しい満開の花を咲かせるために。その先頭に立つ皆様の、勇気あるご決断を心から応援しております。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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